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コスギ君チャレンジ!① 「筋性拘縮の状態で車椅子に乗ってみる~前編」

コスギ君チャレンジ!① 「筋性拘縮の状態で車椅子に乗ってみる~前編」

こんにちは、認知症状消失広場です。

身体が徐々に不自由になってくる高齢者の方々。
身体が動かしづらくなり、車椅子に乗ったりトイレの介助をしてもらったり…となると実際の生活はどんなふうなのでしょうか?

われらがコスギ君が要介護高齢者の気持ちを知るために、体当たりで経験します。
題して「コスギ君チャレンジ!」

第1回は車椅子体験。
ただの車椅子体験ではありません。筋性拘縮(※高齢者が長い間寝たきりなどの理由により体の部位が廃用性の委縮を起こしている状態)が両膝に起きた状態を、認知症状消失広場の久保さんに再現していただきました。

コスギ君には、膝の曲げ伸ばしがかなり制限される状態で車椅子に45分乗り、高齢者の気持ちを体験してもらいます。

両膝を固定して筋性拘縮を再現

高齢者疑似体験教材セットもあるのですが、高価で常備している施設も限られているため、今回は会社内にある代用品としてラップを膝に巻いて拘縮を再現します。コスギ君の衣服の上にラップを巻いていきます。
コスギ君、この時点では笑顔です。

ラップは皮膚に直接巻くと怪我をしたりすることがあります。今回はあくまでも疑似体験のため衣服の上から巻いていきます。うっ血しない程度の強さで巻いています。

左脚は緩めにラップを巻いているので、膝を曲げて車椅子のフットレストにのせました。
右脚は固めに巻いたため、膝を曲げることができません。伸ばした状態のままです。フットレストに足が置けず床にも届かないので宙ぶらりんの状態です。拘縮が起きている状態を再現できました。

コスギ君「筋肉が緊張してる感じがする…」

久保さんによると、左右に筋緊張が発生し非対称になっているため、自然と姿勢が悪くなっていくそうです。
「緊張した姿勢でいるとどんどん拘縮が進んでいく。なので、緊張を解いてあげるようなケアをおりまぜていかないと、よくなっていかない」
左右非対称で筋性拘縮の起きている方は、拘縮の強さが異なっているケースも多いそうです。


(※今日は体験のため片脚を伸ばしたまま車椅子に乗ってもらって移動しますが、実際は片足が拘縮で伸びている状態の方をそのまま車椅子で移動させることはしないです。)

「脚がずっと伸びた状態でつらくなってきた。伸びている脚が張ってきてつらい」
まだ5分も経っていませんが、すでに違和感を感じているらしいコスギ君。
「ちょっと制限をかけられただけで、人間の身体は負担を感じる」
久保さんに見守られて、コスギ君、自分で車椅子を操作して動き始めました。

コースは会社のフロアを回り、研修ホールを抜け、エレベーターホールに出て自動販売機で飲み物を買い、再度会社に戻り自分の席に戻ります。

移動開始! しかし…

「車椅子で移動するの大変だ…」
「右脚、伸びたままで疲れた。つらい」


移動しながらずっと愚痴を言っています。まだほんの数十メートル移動しただけです。フロアには段差はありませんが、車椅子が通るには一部狭くなっているところはあります。
「コスギ君、ずっときょろきょろしてるでしょ」
久保さんが少し離れた後ろから見守りながら言います。

立って自分で歩いてるときと違って、行動だけでなく入ってくる情報も制限されて、ああやってあちこち見てしまうんだよね。

たくさんの社員が仕事をしているフロアをなんとか抜けて、となりの研修ホールに入ります。

研修ホールをまっすぐ通り抜けて会社の外に出れば、自動販売機の置いてあるエレベーターホールまではすぐです。
ところが、通路途中のテーブル席で社員がミーティングをしていました。数人が座っているため、通路が狭くなっており、車椅子では通れません。
無理だと判断したコスギ君は別のルートを探しますが、研修ホールのためどの通路もソファーやテーブルがあり、車椅子は通れません。
コスギ君、あきらめて、元来たフロアから会社を出ることにしました。

これがもし一般の家庭だったら……?
バリアフリー住宅でないと、車椅子の生活ができないことがよくわかります。
住環境、大事でしょ? 廊下が狭かったら通れないでしょ?」と久保さんが言います。うなずくコスギ君。

「あのテーブル席の人たちに、僕が車椅子で通るからどいてくださいとは言えなかった。迷惑かけるって考えて、行けなくなる」

そういう気持ちを、おじいちゃんおばあちゃんはずっと感じてるんだよ。だからじゃまにならないように、迷惑かけないように、ってじっとしてしまう方もいる。そして余計に体を動かさなくなり、活動性はどんどん低下してしまう
と久保さん。

その間も「脚がつらい…疲れた…」と、どんどん元気がなくなっていくコスギ君。
通りかかった社員の石川さん(前回、介護食の実食を体験)が「がんばれよ」と励ましてくれました。

段差に阻まれる

車椅子の操作自体も、慣れていないとはいえ、とても大変な様子。
久保さんは「車椅子で在宅生活は、相当ハードル高いですよ。だから歩けるように訓練するんです」と。

元来たフロアを再度、社員の方たちやデスクに当たらないように注意しながら進みます。ようやく会社からエレベーターホールへ通じる出口に辿りつきました。
ところが―――

「段差、上がれない…無理だと思います…」

えっ? と近くにいた全員が足元を注視します。段差などあるようには見えませんが……
よく見ると、フロアの継ぎ目に細いレールが敷いてありました。会社の入口フロアカーペットとエレベーターホールのつなぎ目、たった5mm有るか無いかの高低差です。
そこに車輪がひっかかり、進めなくなったコスギ君は四苦八苦して車椅子の方向を変えています。
そう。つらいんですよ。この程度の段差でも
久保さんがしみじみと、手は出さず後ろから見守りながら教えてくれています。

方向転換をしたり勢いをつけたりして、なんとかレールを乗り越え、ようやくエレベーターホールに辿り着きました。
自動販売機まではもう少し。
ほっとしたのか、また「背中がつらい。筋肉張って痛い」と文句を言っています。ここまででまだ、たった20分程度が経過しただけなのですが…すでに表情がうつろになってきているコスギ君。

果たしてコスギ君は筋性拘縮を再現した状態で車椅子に乗ったまま、自分で飲み物を買い、席まで戻れるのでしょうか……?

次回をお楽しみに!

※「コスギ君」は弊社社員小菅君の愛称です


小菅 広幸(こすげ ひろゆき)

平成2年、神奈川県横須賀市生まれ。高校時代はサッカー部に所属し、サッカー中心の生活。大学では比較文化学を学び、海外への留学経験もあり。現在、株式会社プリンシプル勤務。愛称は、コスギ君。ハンバーガーが大好物。

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