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コスギ君チャレンジ!(2) 「片麻痺のある状態で歩行してみる」

コスギ君チャレンジ!(2) 「片麻痺のある状態で歩行してみる」

こんにちは、認知症状消失広場です。

われらがコスギ君が要介護高齢者の気持ちを知るために、体当たりで経験します。
題して「コスギ君チャレンジ!」
今回は、「右半身に片麻痺(※いわゆる半身不随。身体の左右いずれかの側に運動麻痺のある状態。大脳皮質から頸髄までの障害で生ずる。脳出血や脳梗塞の症状としてみられることが多い。出典:三省堂大辞林 第三版)がある状態での歩行」を体験します。

片麻痺状態を再現!

今回も認知症状消失広場の久保さんに、片麻痺状態を再現してもらいました。

準備するのは段ボール、食品用ラップフィルム、ガムテープ。
まずは右脚の膝が曲がらないように、段ボールをあてて固定していきます。

ズボンの上から段ボールをあて、ラップで固定したあとさらにガムテープで固定します。うっ血しない程度の強さで巻いているそうです。

膝が曲がらない、脚が伸びきった状態になりました。

次は腕です。
麻痺は脳梗塞等で起こりますが、「弛緩性」と「硬直性」があり、今回は硬直性の再現のため右肘が曲がったままの状態にします。

右腕は半袖着用のため、肌に直接ラップを巻いて固定し、段ボールを肘が曲がった状態で当て、さらにラップとガムテープで固定しています。うっ血を防ぐためと、転んで前歯などを折っては困るので少し緩めにしています。

それでも右肘が曲がったまま動かない状態が再現できました。

さらに足首も段ボールとラップ、ガムテープで伸びた状態で固定します。

「立てる?」と久保さんに聞かれて「無理ですよ……」と、すでに嫌そうなコスギ君。

椅子から立ってみますが、右脚の膝と足首が完全に固定されているため、体重がかけられません。左脚一本で立っている状態です。一回立つと自分で座ることもできず、ふらふらしたままなんとか立っています。

久保さんが杖を持ってきてくれました。

片麻痺状態での歩行は大変……

「じゃあこれで頑張って社内一周してみよう! どれだけ大変かわかるよ」
久保さんに促されて、歩き始めるコスギ君。

動かせる左手で杖を持って足を出そうとしますが、右側は固定されているので曲がりません。大きく半身を回転させて脚を前へ降り出します。

同じような歩き方をしているお年寄りをお見かけしたことがありませんか?

「下肢が伸展、上肢が屈曲というのが脳梗塞に多いパターン。簡単に言えば、下肢の各関節を屈曲できないから必然的に下肢をぶん回すような歩き方になります。このようなぶん回す歩き方でないと歩けなくなるんです。……コスギ君、もっと外から内側に脚を回して歩いて」

コスギ君、どうもバランスのとり方がわからない状態なのか、うまく進めません。

「コスギ君、右足に体重かけようとすると、ふわっと浮いたみたいになるでしょ?」

久保さんに声をかけられ、

「つま先らへんでしか立てないです」
「自分たちが歩いている感覚とは違うでしょ」

久保さんの説明の間もじわじわと進んでいくコスギ君ですが、後姿がすっかり片麻痺の方特有の姿勢になっています。

麻痺している方は股関節も使えないので、バランスをわざと崩して脚を横から前に振り出すように歩行します。

社内はちょうどラジオ体操が始まった時間です。皆の邪魔にならないように少しずつ移動していきます。コスギ君、すでに疲れた表情です。

研修ホールへのドアが今日は閉まっていました。開けようとするコスギ君ですが、使える左手は杖を握っているため開けられません。

ドアの開く方に立ち、杖を自立させ(自立するようにできているのはこういうときのためなのですね!)、空いた左手でドアを開けます。
開いたら体で支えて、その間に杖を持ち直してドアを杖で押さえて止め、無事にドアをくぐれました。

器具選びはとても大切

椅子や机がたくさんある研修ホールに入りました。通路が狭いところは麻痺のある方は歩きづらいのだ、と久保さん。その言葉どおり、コスギ君は机にひっかかりながら進みます。

介護練習用のベッドがあるところまで来ました。座ってみて、と言われたコスギ君、ベッドの高さが低めのため、座るというより尻もちをつくような格好になりました。

横たわってしまうと今度は自力で起き上がれません。動く方の左脚をクロスさせてベッドの柵を持ち体を反転させて起きようとしますが、転がり落ちそうになり途中でストップ。

「今日のような状態になったら、自分では起き上がれないんですか…?」と不安そうなコスギ君。久保さんに介助してもらって起き上がり「大変でしょ?」と言われて頷いています。

ヘッドの軸が回転しない、別の四点杖を持ってきてもらいました。かなり不安定な様子です。コスギ君「これ、怖くて使えないです…」

久保さん「少しでも動ける人は地面との接地面が稼働するほうがよい場合が多いですね」。(ただし、器具に関しては福祉用具相談員やセラピストの方と十分に検討し、選ぶことが必要となります。)

再びコスギ君が歩き始めました。

久保さん「急かされると嫌でしょ?」
コスギ君「嫌ですね。あっち行ってくれ!って思います。頼むから自分のペースで歩かせてほしい」

通路途中のカウンターチェア(少し高めの椅子)に休憩で腰かけるコスギ君、この椅子は楽だと喜んでいます。「高さは大事ですね」

促されて歩き始めたコスギ君ですが「座りたい……」と愚痴を言い始めました。

段差やエレベーターホールのカーペットに気を付けるように久保さんが声をかけてくれます。カーペットの上はカーペットと靴との間に摩擦が発生するため歩きづらいのだそうです。

「疲れたら杖に寄りかかって立ってるしかないですよね……」

立ち止まってしまったコスギ君に、久保さんがサークル型歩行器を持ってきてくれました。高さを合わせて、寄りかかります。

「楽ですね。でも自立してる感じは無いですね……」
「あと、固まってる肘があたって痛い」

いつもの「意地悪な社員さん」が現れて「今日はどういう設定なの?」と絡んできます。今日のコスギ君は、片麻痺の方の大変さを全身で感じています!

自分の席に戻らないといけないのに、サークル型歩行器に寄りかかったまま、流されるように違う方向へ行ってしまったコスギ君、席に戻るように久保さんに言われて

「えっ。方向転換するの? せっかくこっち来たのに…やんなっちゃうなぁ」

ぼやいて方向を変えます。

「歩行器、段差上がれるかなぁ」

やはり、前回の車椅子のときと同じようにホールにあるレールの段差に引っ掛かりました。車輪を動かすのを手伝ってもらい、少し持ち上げてもらってレールを乗り越えました。

その後、久保さんが後ろから抱えるようにして歩行を手伝ってくれました。久保さんの右足甲の上に麻痺側のコスギ君の足をのせて、コスギ君の歩行動作を補助しながら下肢の振り出しをサポートしています。

「これは楽だ!」とコスギ君は喜んでいます。

「脚を振り出す感覚のための練習です。こうやって一人で介助することもありますが、介護士二人でやることもあります。その他、さまざまな方法がまだまだあります」

あともう少しで自分の机――

というところで、介護職社員の方々が、研修で片麻痺の要介護老人役が必要とのこと。片麻痺再現をしているコスギ君を見つけて「ちょうどいいのがいた!」と連れて行かれてしまいました。

疲れ切っていたコスギ君、すっかり介護されるお年寄りの面持ちでベッドに横たわり、そのまま仰臥位から側臥位、さらに端座位への体位変換、車椅子への移乗の介助講習のモデルになってしまい、本日の片麻痺体験はここで強制終了となりました……。

このときのインキュベクス新人介護マンによる介助講習の様子は、また後日別の記事でお伝えします。

次回もコスギ君は体をはって頑張ります。

何にチャレンジするのか、乞うご期待!!


小菅 広幸(こすげ ひろゆき)

平成2年、神奈川県横須賀市生まれ。高校時代はサッカー部に所属し、サッカー中心の生活。大学では比較文化学を学び、海外への留学経験もあり。現在、株式会社プリンシプル勤務。愛称は、コスギ君。ハンバーガーが大好物。

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